【百合ブログ】百合Edge

人間無骨のブログ。百合のレビューをする。 Twitter:@ZoolockMetatron

よるのないくに-レビューのあるブログ

「あったよ! 二人が昨夜はお楽しみだったと推理できる描写が!」

「でかした!」

 

すでに先人が伝えている通り、「よるのないくに」は百合ゲーだった。

これまで数々の百合メディアで突然のヘテロ展開に目を回してブッ倒れていた貴兄もその奇跡に涙を流して喜んだことだろう。

 

すでに「よるのないくに」のレビューはあちこちで書かれているだろうが、日記も兼ねて等ブログでもレビューさせていただこう。

ネタバレは致命的なものを避けてるよ!!!!!!!!!!

とりあえず個人的に感じた良い点と悪い点を挙げる。

 

・良かった点

百合要素!!
従魔システムが意外にも楽しい
遊ぶ上でのストレスがほぼない

 

・悪かった点
ボリュームがやや少ない
世界観に入り込みにくい
もっといちゃついてほしかった

 

という感じだ。

これらの要素について解説したいが、まず百合要素から始めるのがこのブログらしいだろう。

 

よるのないくには徹頭徹尾アーナスとリュリーティスの物語だ。世界の終末に対抗できる聖女と、彼女を守る騎士。ロマンスの香りを感じるなという方が無理だろう。
実際、二人はお互いのことを一番大切に思っていて、それゆえに喧嘩することさえある。

これはアニメも絶賛放送中の緋弾のアリアAAでも見られる手法だが、百合メディアではどう見てもデキてるとしか思えない描写でも「女の子同士の友情」というワードで無理矢理説明してしまうというパワープレイがよくある。よるのないくにでも度々友情という言葉が使われていて、その手の作品に親しんだ人間ならニヤリとさせられるだろう。

とにかく二人は仲良し(意味深)で、

初対面の時の感想が「わぁ……綺麗な子……」だったり

二人してホテルに行ったり

いつも二人で寝ていたり

ダンスもするし、なんならキスだってする!

 

そもそも製作者が解説で「ユリユリしく」なんて言ってるんだからこれで百合ではないという方が難しいぐらいだろう。とつぜんヘテロ展開になるんじゃねえの??? という我々の懸念は外れたのだ!!!!!!

 

男性キャラクターも登場するが別に恋愛的に絡んできたりしないしサブキャラとしてそれなりの存在感もあるし悪くないだろう。少なくとも転んでクンニとかしないし……

 

だからよるのないくには百合を期待してプレイする分には問題ない。

 

さて、一方ゲーム面では不満点もあるが私はおおむね楽しむことができた。

比較対象がDOD3だったので採点はアーナスとリュリーティスの仲並みに甘々だよ!

ちなみにDOD3はフルプライスで買ったよ! あんなものを作っておいてニーア新作が売れるのかな??

ゲームジャンルはアクションRPGで、ステージでは聖騎士アーナスを操作する。彼女には任務を補佐する従魔<セルヴァン>が四体同行していて、この従魔を状況に応じて切り替えつつステージを進めていく。

 

従魔は人間型から人外まで様々な種類がいて、細かい戦略を立てなくても基本的にかなり有能なので遊んでいてストレスはほぼない。

初期に所持している回復を担当してくれる従魔がいると最後までほぼサクサク攻略できるだろう。

ステージごとに様々な固有のセリフを言ってくれるので色々な従魔を連れて歩くという遊び方もできる。

ある程度は育成や厳選も可能なので最強のパーティを組むという楽しみ方もアリだろう。ただしそこまでシステムは複雑ではないので、育成ゲームとしては微妙と言える。この点はライトに楽しめるという表現もできるから一概に欠点でもないが……。

またロードもそこまで頻繁でもなく、難易度のぬるさからリトライも少ないので基本的にイラつきはない。

また、一応ステージには15分前後の制限時間も存在するが、大体10分程度で突破できるのであってないようなものである。

 

他の二つの良かった点はサラっと流したけど、その辺はもっと詳しくやっているブログがあるでしょう、多分ね。

 

では不満点の方も解説していこう。

このゲームではシステム面で特に文句はなかったので、その分ストーリーや世界観には色々と言いたいことがある。

 

ゲームのあらすじはさきほど簡単に触れたが、よるのないくにの舞台は近代(おそらく18~19世紀ごろ)の地球である。

夜の君(いわば魔王)を倒した結果、世界中で怪異が起きた――という設定だが、よるのないくには最初から最後まで北欧の架空の島が舞台となるため、そのスケール感を感じることができない。

いちおう交易というシステムで他の地名に触れる機会はあるが、その程度だ。

 

加えて夜の君の封印が解けそうで、世界の終末が近づいているわけだが、その空気感を感じるのは難しいと言わざるを得ない。

島の中で探索可能な場所は一般人が避難した後の区画に限られており、また会話をできる人物がホテルの中の数名に限られてしまっている。

アーナスの育成にあたっては昼間行動というコマンドがあり、探索以外で島の人々と接する機会は設けられているものの、短い記述のみにおわっている。

 

このため、どうしても「世界がいよいよ滅びるかもしれない」という感覚を持てないままゲームを進めていくことになる。シナリオ自体が短めなのでどんどん世界がヤバくなっていくしね。

アーナスの考えは始めから「リュリーティスを救いたい」というもので決まっていたとはいえ、「世界と友人を天秤にかける」というストーリーで、友人の描写に重点をおいて二人の外側の世界をあまり描かないのはもったいないように感じた。

マップのデータは使い話ませるんだし昼間の街を歩ける様には出来なかったのだろうか……アーナスとリュリーティスのデートとかもイベントで用意できただろうし!

 

百合描写自体も満足いくものだが、アーナスとリュリーティスは始めからデキてるという前提で進むので「徐々に愛情……もとい愛情を深めていく過程」を重視する百合厨はモヤモヤするかもしれない。DLCでなれ初めについても(ちなみに二人は学園の目立たない中庭で出逢っている。「その花びらにくちづけを」でハッテン場になってるアレだね!)触れられているだけに、ここも惜しい点だ。

 

総評すると百合ゲーとしては甘々だが、ゲームとしても甘い点が少なくないと言ったものだろうか。なにやら文字にすると厳しめになってしまったが、私は発売日に買ったけど後悔はしていない。

そこそこ売れたらしいので百合ゲーは売れるという認識をメーカーが持ってほしい(そしてなるべく延期せずに開発してほしい)ところだ。

 

百合ゲーというともっぱらアカイイト、屋上の百合霊さん、その花びらに口づけを…等々、ノベルゲームであることが多い。

勿論そうした百合ゲーは素晴らしいものであるが、ノベルゲームに親しんでいない層にも訴えかけるジャンルでも百合が増えてほしい所である。ファンヴァニとかエスリタとかあるけど、メインストリームじゃないからな……。

よるのないくにがそうしたノベルゲーム以外の百合ゲーの先駆けになってくれることを期待している。