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【百合ブログ】百合Edge R&D 

人間無骨のブログ。百合のレビューをする。 Twitter:@ZephyrMusician

ハーレム百合ファンタジー小説-9日目ぐらい

百合ファンタジー

忘れてなどいないよ(震え声)

設定とかは下にあるけどここからでも大丈夫なように作ったはずだよ!

超簡単なあらすじ:

男なら誰でも魅了できるヤバい魔女を女の子だけのパーティが遠くまで護送する話。

百合ハーレムファンタジー小説-その設定 - 【百合本の感想】百合Edge R&D

3-1

数日前に魔女裁判が行われた都市は、法務官や執行官が勤務している法務院本部を中心として、それを取り囲むようにして円形に都市が形作られている。世界を滅ぼしかけた魔女、タチアナが裁かれたのも法務院の内部にある法廷だ。
日々、世界各地の裁判業務や周辺地域の警備、執行官の派遣などで多くの人間が出入りする法務院には、限られたものしか知らない『資料室』がある。資料室という名前ではあるが、そこにあるものは古びた円卓と椅子、魔法で煌々と光り続ける燭台、そして完全に外界から遮断された空間だけだ。広さはささやかなものだが、天井はどこまでも高く、果てが見えない。
円卓には六名の男女が座っていた。一人一人が法務院で最大の権限を持った「生ける法」、大法務官だ。
「例の護送計画が動き出したな」
会話の口火を切ったのは獣人の大法務官、リカルドだった。堂々たる体躯に獅子の顔を持つ彼の声は見た目と同じ威圧感を誇る。リカルドの視線を向かい側の女性、フェイスに向けられていた。
「先程連絡を受けましたが、今のところ順調なようです」
リカルドの視線は相手を食い殺さんばかりだったが、フェイスは平然と返答した。その返答にいきり立ったリカルドは円卓から身を乗り出した。他の大法務官は出方を伺うように黙って二人の会話を傾聴している。
「順調? あの執行官達から連絡があった街では昨晩、襲撃事件が起きていたことを知っているだろう? 表向きは夜盗ということになったが、実際は魔女を狙った犯行に違いない。でなければ自害などするはずもない」
極秘任務に就いている執行官が謎の暴漢から襲撃を受けた――部下の執行官から伝達された情報は、リカルドにとっては衝撃だった。そもそもタチアナの護送任務は世界に与える影響から極めて機密性が高い。本来なら、その計画を知っている人間は当事者である執行官三人とこの場の六人だけのはずである。にもかかわらず、既に魔女の護送を知る勢力が現れている。法務院にとって、あってはならない事態だった。
「この程度のことは予想の範疇です」
「襲撃があったということは、法務院の護送計画が漏れたということだ。最高の、極秘の計画がな。それを貴様……」
「情報の漏出があったということでしょう。我々の大法務官の中にね」
フェイスはあっさりと言った。リカルドは円卓を叩いた。人間が平べったい肉塊に変わるほどの力だったが、円卓は小揺るぎもしない。
「仲間を疑うのか!」
到底認められない言葉だった。法務官は世界を守る警察であり、大法務官はそれを指揮する正義の番人だ。フェイスは、その正義の使徒が、武装勢力に情報を売ったと言う。法務院による絶対の正義を信じるリカルドにとって、それは自らが侮辱されたに等しい。
「そうだ、我々は一枚岩ではない。魔女の解放が利益になる者もいるかもしれない」
先程から話題に上がっている魔女――世界を滅ぼしかけた女、タチアナに対抗するべく立ち上がった者たちの多国籍組織が、法務院の前身だった。発足当時から組織の指導者は世界の各種族から選出されている。特定の種族、国家に組織を私物化させないためだ。つまりそれは、組織の内部で異なる外見の者が異なる思惑を抱くことにもつながる。
「我らは神の元で一つになっている。一枚岩ではないというのなら、貴様こそが異分子だぞフェイス」
同意を求めてリカルドは周りを見渡した。賛同か、あるいは異論を感じ取らせる表情は半々といった具合で、リカルドは苛立つ。思った以上に不信心者が多い。
意図的に分裂した組織を束ねるものが、世界でも広く信仰されている宗教、「イェツェール教」だ。
布教を担う「教会」ほど強い同調意識があるわけではないが名目上、この場の全員がイェツェール教徒のはずだというのに。
「落ちつきなよリカルド、この会議は神学の議論をするためのものではない」
リカルドをとりなしたのは、彼の隣に座る木精<エルフ>の男性、リエスだった。リカルドと同じく熱心なイェツェールの信徒でもある。
「……フェイスに問おうか。件の襲撃事件は本当に情報の流出が原因だと?」
リエスの質問を受けて、フェイスは静かに答える。
「おそらくは。もちろん高度な諜報網を持った何らかの組織が情報を嗅ぎつけた可能性もあります。しかし、護送が始まったのは昨日です。襲撃の速さと正確さからして、内部から漏れたと考えるのが妥当でしょう?」
「なら、大法務官が犯人だと決めつけたのは」
「リエスも分かっているとは思いますが、法務院が本気で尋問を行えば大抵の相手から情報を引き出すことが可能です。こうなった以上法務院の関係者全員に捜査が及ぶでしょう。それを分かっていても真実を隠し通せるのは――」
法務院は他者の心を読む魔法についても多くの知識を有している。かなり力のある魔道士が相手であっても、容易に秘密を暴きだせるほどに。
「――大法務官しかいないと、そう言いたいわけだね」
リエスは渋面で頷いた。フェイスに聞くまでもなく、その答えは頭の中で出ていた。とはいえ、やはり身中に虫がいるとなると穏やかではいられない。この部屋のどこかに、世界を引っくり返そうとする者が潜んでいるのだ。