【百合ブログ】百合Edge

人間無骨のブログ。百合のレビューをする。 Twitter:@ZoolockMetatron

ハーレム百合ファンタジー小説-10日目・および私信

 ……と、いうわけでイベントにサークル参加します。

渾身の百合NTRを見せてやんぜぇええ!!!!!!

 

連載もサボらず定期的にな……

Mesmerizer 3-2

超簡単なあらすじ:

男なら誰でも魅了できるヤバい魔女を女の子だけのパーティが遠くまで護送する話。

女の子だけのパーティの人選について、彼女達の上司が責められてるのが今の話だよ。

設定は↓だよ!

百合ハーレムファンタジー小説-その設定 - 【百合本の感想】百合Edge R&D


「だとすれば、この会議も危険ということになりますなァ」
黙って話を聞いていた別の大法務官が髭をさすった。ここで話された内容が丸ごと「敵」の耳にも届くかもしれない、その危険性は計り知れない。
「護送計画については白紙。新しい方針は……どう決めたものだろうね」
リエスは腕を組んだ。
「どちらにせよ野放しにはできない。もしも仮に背教者がいるとしたら、我々の目を盗んで敵に指示を飛ばすだろうからな。こうしてお互いに監視しあっていた方がまだ安全だ」
リカルドは大きな身振りで言った。もしも仮に、という部分には特に力を込めて。
「それにこの女こそが裏切り者かもしれん。現場の執行官を指揮しているのはフェイスだ、彼女達に気付かれないまま敵の手中へ誘導することだってできる」
リカルドはフェイスを睨み付けた。彼女は、その眼光を余裕で受け止める。
「確かにそうだ、リカルド。私の潔白の証明は難しいだろうな」
同時に、私がクロであることも証明できはしまい。そんな不敵さをフェイスは漂わせていた。リカルドにとっては気に入らない態度だった。やはり、執行官あがりは信用できない。執行官なんてものは訓練されたゴロツキの集まりだ。そこから出世した奴など、所詮は知恵を付けたゴロツキにすぎない。
「ふん……そもそも俺は少人数による護送という計画自体が疑問だった。裏切りはともかくして今後も襲撃されることは間違いない。法務院が組織した大隊による護送にすべきだったんじゃないか」
「規模を大きくして派手な行列を作れば、それこそ襲って下さいと言っているようなものではないかな? それに人数が増えれば、魔女に篭絡される人員が出てくる可能性も高まる……私は少人数による隠密作戦が妥当だったと信じているよ」
「そこまでにしよう、この議論は立案段階で何度もやったことじゃないか」
相変わらずフェイスを食い殺さんばかりの勢いで睨むリカルドに、リエスは着席を促した。この獅子は些か正義感が強すぎるきらいがある。
「では人選は? フェイスは、独断で今回の任務に当たる執行官を選定した。我々には事後承諾だった……。裏切り者が貴様とすれば、あんな面子を選んだ理由も納得できるがな。失敗してもらった方が貴様には都合のいい展開なわけだ」
憮然とした面持ちで座ったリカルドだったが、彼はさらにフェイスへと食い下がる。執行官の選定という話題になり、場に緊張が走る。フェイスが独断で指揮を執っていたことは事実だった。少人数による任務遂行がフェイスの主導で決定されたため、その人選もまた黙認されていた。とはいえ、それは問題が起きなければの話だった。
こうしてトラブルが起きた以上、お前の判断を見過ごすことはできない。リカルドはそう言っていた。
「繰り返しになるが、私の判断は妥当なものだったと信じている。特務執行官の任命に関してもね」
「彼女達はお前の私兵同然だし、問題を抱えていた者までいる。それでも己の判断が正しかったと?」
 リカルドが射殺さんばかりの視線を投げかける。
 フェイスは動じない。
 法務院の評決を実行し、また罪人の捕縛や治安の維持にあたるのが執行官の役目となる。志望者に対し、育成機関で教育と訓練を受けさせる制度も存在する。しかし、現在の執行官の大半は法務院の関係者――主に現職の執行官や法務官によってスカウトされた者ばかりだった。必然的に、執行官の中には派閥が存在する。
 今回の護送任務に選ばれた三人、フォティ・パル・シンクは、かつてフェイスによってスカウトされていた。
「もちろん。まず、シンク・イアに関して異論が挟まれることはないでしょう? 彼女はここ五年間でもっとも功績を上げている執行官だ。人望、実力、思考……どれをとっても申し分ない」
 フェイスの言葉に対する反論は無かった。シンクに関しては、誰もが納得していた。彼女は特異な剣術を振るうエルフの剣士にして、ベテランの執行官だ。男女を問わず、執行官の中では最高の人材と言えた。
「そしてパティエンス・アルロバルジュ……もっぱら、パルと呼ばれていますね。パルは若手ですが、育成機関は魔術部門・法律部門を主席で卒業。その後も彼女は常に自己研鑽を怠っていません。その知識と魔術は必ずや今回の任務でも活かされるでしょう」
 フェイスは続ける。パルに対しても表立って批判が浴びせられることはなかった。円卓に座る大法務官のうち、リカルドを含めた数人はパルに関してどこか不安な気持ちを抱いている。彼女の出自は魔族だった。魔族は法務院に対して反発的な立場をとっており、現在も法務院とその庇護下にある国家とは微妙な関係になっているからだ。とはいえ、仮にも平等と正義の使徒である大法務官が表立って出自をやり玉にあげることはできず、またパルの実績が本物である以上、声を荒げることは不可能だった。
「さて、最後にフォティ・リルヴァーンですが」
「リルヴァーンに関しては納得のいく説明をしてもらうぞ」
 リカルドが唸った。それに影響されて、微かに場の空気がざわめいた。
 これまでの二人は、世界を滅ぼしかけた魔女を護送するに足る実力があると言えた。
 しかし、フォティは違う。彼女だけが異質で異常だった。
 まともな人間ならフォティなんて絶対に選ぶはずがない。リカルド、そしてフェイスを除いた誰もがそう確信していた。