クオリディア・コードなどで見られるクレイジーサイコレズについて-なぜ彼女は彼女のパンツをかぶるのか
女の子ばかりの環境にエージェントが潜入するという話がある。
そこそこ見かける設定だから好きな作品を思い浮かべてほしい。
で、大抵そういうのって、そのエージェントが女の子かと思っていたら女装した男なんだよね。
また「お、お前女だったのか!!!」という場面を思い浮かべてほしい。
私はジョジョの3部が思い浮かぶんだけど、これもその台詞が男が言うもので、大体それを言った男といい感じになるものだ。
後者はお約束に近いからまだいいんだけど、前者に関しては手を変え品を変え、百合物件に突進する百合厨たちの足を引っかけてきた。
「""彼女""にはある""秘密""があって――!?」みたいなのは大抵危険だよな、みんなも知ってるだろうけどさ。
しかし「いつか世界を救うために -クオリディア・コード-」は違った。
アマゾンのあらすじはこうだ
西暦二〇四九年。世界は終わるかと思ったが、終わらなかった。突如として現れた正体不明の『敵』―“アンノウン”と戦争を続ける人類。防衛都市のひとつ神奈川の学園に転校してきた紫乃宮晶。彼の目的は『神奈川序列第一位・天河舞姫を暗殺すること』。しかし『最強』の称号を有し、人類の希望である少女の強さはあまりにも規格外で…。「のぞきではない。監視だ」「今は胸を調べている」「無論、尾行だ」「変態ではない、調査だ」「秘密裏に行う家宅捜索だ」舞姫の全てを知るための観察が始まった!?新世代ボーイ・ストーキング・ガール!!
これは一巻のあらすじで、二巻ではなんと紫乃宮晶が男装した女エージェントだったと明らかになる。
男装した女暗殺者が女の子を暗殺するために接近し、それが露見してしまうのだ。
もちろん「あなた女の子だったの!?」的セリフもばっちりだし、このセリフがあるというのは即ちその二人が、今回だと女の子同士がイイ感じになるってこと!
暗殺のために潜入した主人公は標的に芽生え始めた情に迷い、彼女を守る行動さえとってしまうようになる。守るものと守られるものって百合だよな
男っぽい女暗殺者が標的にほだされて守護者に回る……実質悪魔のリドルじゃない??
ヒロインが実は強いことも含めて
浅学なクソザコ百合厨だからラノベはあまり詳しくないのだけれど、大まかな話としては、学園を舞台にした異能バトルストーリーという感じで、二人の仲が深まっていく様子がしっかり書かれている。お約束のサービスシーンもばっちりだ!!
私は二巻で主人公が女の子だったから購入したクソ野郎だけど、女の子がラッキースケベとかするだけで心が温まるよな!!!!
しっかりと伏線や謎も散りばめられているから先を読みたいと思わせる動力は充分だし、出てくる登場人物は大半が女性で、全員が女性に対して強い感情を抱いているので間違いなく百合だ!
しかも上下巻だから手軽に読みやすい!
本編以後を描いた漫画版やアニメ版も予定されているみたいだぞ!
ファッキンハーレムアニメ展開だけは勘弁してくれよな、頼むよ~
個人の好みではもうちょっとガチで戦ってほしかったとか、後半駆け足過ぎるとか後半よりも前半の主人公のが好きとかはあるけど……
いつか世界を救うために -クオリディア・コード- (富士見ファンタジア文庫)
- 作者: 橘公司(Speakeasy),はいむらきよたか
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2015/07/18
- メディア: 文庫
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いつか世界を救うために (2) -クオリディア・コード- (ファンタジア文庫)
- 作者: 橘公司(Speakeasy),はいむらきよたか
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/富士見書房
- 発売日: 2016/01/20
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さて、レビューはこの辺にして今回の主題に入ろう。
今回のテーマはクレイジーサイコレズだ。
そういうネタが嫌いな人はこれ以降を読まない方がいいぞ! 画像も貼るしな!
このクオリディア・コードは、ガール・ストーキング・ガールと謳われているように、主人公の紫乃宮晶が天河舞姫をストーキングする物語だ。
具体的には盗撮して、ゴミ漁って、箪笥の下着を調べたりする。
天河舞姫には四天王(全員女だ!)という取り巻きがいて、この四天王もそういうことをする。
だからこの作品はアレなレズに囲まれた女の子のハーレムとも読めるんだけど、注目したいのは「ストーカーが盗撮して、ゴミ漁って、箪笥の下着を調べたりする」というのが一種のお約束になっている点だ。
クレイジーサイコレズという言葉は百合を追う人間なら聞いたことはあるだろう。
北上さんに異常な執着心を見せる大井っちとか、まどかのパンツをかぶったりするほむらちゃんとか、そういうアレだ。
この言葉は必ずしも好意的に使われるとは限らない。
なぜなら、こうしたネタは大抵二次創作から自然発生したもので、原作では全くそういうことがないというのもしばしばだからだ。
そりゃ好きなキャラがパートナーのパンツをかぶってたら怒りたくもなるよな!
政治的な理由から私個人の感想は避ける。 今回の記事はエンタメ性を高める方向で書くから容認派のように見えるかもしれないけど、あくまでも中立的な視点を心がけたい。別に紹介したキャラを貶めようとかそういう意図もない。あくまでもクレイジーサイコレズが生まれた経緯について調べることが私の目的だ。
そもそもマナー喚起らしきことをしたところで大抵は無意味だ。他人にそういうことを言われても「なんだテメー?」となるのがインターネットだからね!
1:前置き
今回はクレイジーサイコレズとされてしまったキャラクターを研究し、なぜ彼女達がパンツをかぶることになってしまったのかを考察したい。
なお、この記事においてクレイジーサイコレズは以下のように定義する。
・特定の女性に異常な執着を見せる。
・恋愛対象にストーキング・窃盗・盗撮・セクハラ・百合乱暴などの行為に出る。
・PIXIV等でそうした二次創作が散見される。
・パンツかぶりそう
では始めよう。
まずは一人目!
まどかは私のもの! 邪魔するQBは思いきり殴り思いきり撃つだけ!!
見滝原の悪魔、暁美ほむら!
――愛よ……!*1
有名作品だけあってそういうネタをよく見かけるキャラクターだ。
放送当時は彼女の目的が明らかになっていない中で、鹿目まどかに強い執着を抱いている描写などがあったことから、「単なるストーカーでは?」と思われてしまったのも原因の一つだろうか。
また彼女の魔法は時間停止であり、こうした変態ネタとの相性が最悪なことに最高だったのも数を増やした理由にあげられる。
結局ほむらの正体と目的が明かされた後も、こうした風潮は無くならなかった。
まどかのために特定の期間をループし続けるという決断に至ったほむらの行為は、健全だと思われなかったのかもしれない。
二人目!
彼女は姉妹百合最強ではない!! けいおん百合で最強なのだ!!
――好き! 好き!! 大好き!!! お姉ちゃん大好きッ!!!!*2
姉である平沢唯が自宅ではあまりにも怠惰であることは有名だ。
それと同じように妹の平沢憂が姉の唯を甲斐甲斐しく世話していることも有名だ。
こうした扱いを受ける原因は、おそらく上記のような姉妹愛が、憂の盲目的な愛情表現だと解釈されてしまったからだろうか。
家事をしてる描写が印象的なためか度々包丁が持ち出されるイメージが強い。
また唯は軽音部のメンバーとカップリングされることが多く、そのため姉を取られた嫉妬心から凶行に走る……というようなパターンも見られる。
憂は姉の下着を盗むとかではなく、日常での距離が近すぎたが故に愛が変質してしまった少女とされがちだ。どちらかといえばヤンデレかもしれない。
三人目ェ!!!!
球磨型軽巡洋艦の4番艦こそが海上最レズの代名詞だ!!!
まさかこの艦がきてくれるとはッッ
重雷装巡洋艦大井!!!!!
――ヒトキュウマルマル。北上さーん♪たまたまカレーを作りすぎてしまったの!よかったら、一緒に食べましょぉぉお!(大井・改「時報ボイス19:00」より)
某botの影響もあってその筋では有名なキャラクターである。
たびたび北上に絡んでいく言動がこのようなキャラ付の原因か。
じゃあ原作ではどうなのかというと、辛辣な発言こそあるものの、決して北上さんのことばかり考えているわけではない。
そのためいわゆる提督LOVE的な解釈で大井を推している提督もいるし、結果として百合厨以外にもある程度認知されたこの二次設定が軋轢となることもある。
アニメ版での騒動は記憶に新しい。
アニメは未視聴なのでなんともいえないが、二次設定は扱いに注意しなければいけないということをあらためて教えてくれた艦だろう。かつては練習艦だしね。
四人目ッッッ!!!!!!!!
変態性に更なる磨きをかけ
”空間移動”白井黒子が帰ってきたァ!!!
――アッーアッー!!↑おねえさま!!!↓激しすぎますアッー!!!!↑(とある科学の超電磁砲より)
黒子に関して多くの説明はいらないのではないだろうか。
彼女の奇行は二次設定ではない。セクハラもルパンダイブもやりたい放題だ!
しかし実のところ、彼女の恋は想い人である美琴は上条に惹かれているという悲劇性あふれるものだ。だからといって、黒子まで上条になびくことはない。
いつだって彼女はお姉様に一直線だ。
五人目ッ!!!!!!!!!!!
特に理由はないッ!!姉が強いのは当たりまえ!!
妹にはないしょだ!!!
ゆるゆりの中のがちゆり!!!
赤座あかねがきてくれた―――!!!
――がちゆり! はっじまるよ~!(アニメ「ゆるゆり」より」
こちらのお姉ちゃんも原作から妹に対する異常な執着心を発揮している。
姉妹百合は拗れる宿命でもあるというのか……。
兄から姉に変更されたという噂もあるが、それはともかく、あかねさんは妹のパンツをかぶるし写真を収集するし抱き枕まで作っている。
それでも妹には慕われているというのがオドロキだ!
愛情表現以外は基本的に良い姉である点が効いているのだろう。
平沢憂もだが姉妹はこういうキャラ付けがされることが多い。
六人目ッ!!!!!!
友情行為はすでに我々が完成している!!
東京武偵高校、佐々木志乃&高千穂麗だァ――――!!!
――『で……どうでしたか……あ、あかりさんのチェストスメルは……?』
――『そ…そっちこそ聞かせなさいよ…あかりの枕持ってるんでしょ…!』
(「緋弾のアリアAA」より)
緋弾のアリアAAはレズがたくさん出てくる。
なので、おかしなのもたくさん出てくる。
ストーキングしてあかりの私物を収集する志乃と金の力で無茶なレズ展開を実現する麗のコンビネーションは抜群だ!
あかりが基本的に特定のカップリングをもたないこともあって、志乃×麗というストーカー同士の百合の可能性まで生まれている。
ある意味クレイジーサイコレズ界の最先端なのかもしれない……。
そしてラストォ!!!!
元祖レズレイパーが帰ってきたッ!!!
どこへ行っていたンだッ!!!! 月の巫女ッッ!!!!!!!!
百合厨達は君を待っていたッッッ!!!
姫宮千歌音の登場だ――――――――ッ!!!!!!!
――貴女が好きなの。
貴女の瞳が好き。
春の銀河のように煌めく瞳が好き。
春の日差しのような優しい眼差しが好き。
貴女の髪が好き。
そよ風に閃くシルクのようなサラサラの髪が好き。
貴女の唇が好き。
蜜のような口づけをくれる、切ない吐息を聴かせてくれる、唇が好き。
貴女の声が好き。
高くて甘い、心に染みこむ、澄み切った声が好き。
貴女の身体が好き。
抱き締めると折れてしまいそうな華奢な腰が、
薄くて、でも形の良い胸が、
重ねた肌から伝わってくる温もりが好き。
でも、一番好きなのは貴女の心。
脆くて、傷つきやすい、でも、どこまでも純粋で美しい、
決して誰も責めたりしない、全てを許す優しさに満ちた魂が。
好きよ。
大好き。
貴女の全てが愛おしくてたまらないの、姫子。(アニメ「神無月の巫女」より
静なつと迷ったがこちらを挙げたい。
実は舞-HiME、未見なんだよね。アレは事前情報を最低限にして静なつを感じたいしそういうわけで今回は紹介できないんだ……。一応タイミングとしてはひめちかの方が先のはずなので、それを選考理由にしたということで赦して。
今回の基準からはやや外れるが、ソウマくんから半ば力づくで姫子を奪い取ったことや長い長い告白などクレイジーでサイコなレズという概念を体現したキャラクターは彼女しかいない。
ひめちかについては、多く語る必要はない。
未見なら是非予備知識を最低限にして触れてみてほしいし、一度でも見たことがあるのなら、もう何も言わなくても全てが伝わるはずだ。
一般にクレイジーサイコレズとされているのは、この辺りだろうか。
実際は他にも候補が一杯いるんだけど(蒼井晶とか武智乙哉とか原村和とかね)一々紹介文書くのが面倒だしなんかあんまりパンツ被らなさそうだから*3ここまでにしておきたい。
次はなんでクレイジーサイコレズが登場する(あるいはそのような二次創作が書かれる)のかを考察してみよう。
2-1:変態性とは
クレイジーサイコレズを調べると一定の傾向が見られたので、最初にそれを発表する。
クレイジーサイコレズというはいわば不健全な恋愛の形だ。*4
百合は恋愛作品が多いから、色々な恋愛が描写されるわけだが、その中には真っ当な形ではない恋愛も多く描かれる。
監禁、共依存、暴力、浮気――そうした行為に手を染めるキャラはそれなりにいるけれど、全員がクレイジーサイコレズとは言われない。クレイジーサイコレズと彼女達を分けるものは何か?
私はそれを、暴力性と変態性から考察した。
下のグラフを見てほしい。
分かりやすいだろ??????
異常な恋愛を行うキャラクターはだいたいこのグラフに当てはまると思うが、クレイジーサイコレズとされるキャラはA群に多い。
変態だが、暴力は振るわないというのが恐らくクレイジーサイコレズの条件となる。
変態だし暴力もかなり振るう(B群)は、いわゆるヤンデレだ。監禁や刃傷沙汰を招きやすい。
完全に危険人物なのでクレイジーだしサイコだが、変態行為よりも洒落にならない暴力や監禁の方がイメージに残りやすいこともあって、変態性は薄れがちだ。
きら☆ふわではなくKiller☆不和とまでいわれた白衣性恋愛症候群の某キャラとかね。
さほど変態ではなく暴力も振るわない(C群)は真っ当なお付き合いができる。
幸せになってほしい。
大抵のカップリングはこれに含まれるが、あえて挙げるなら屋上の百合霊さんの桐ちゃんあたりかな?
変態性は薄いが暴力は平気で振るう(D群)はDVや共依存、あるいは破滅的恋愛に耽りがちだ。
循環系レズこと蒼井晶さんとかな!
ここまでに例示したキャラクターもおかしなことはするが基本的に直接相手に危害を加えることは少ない(ゼロではない)
黒子が美琴の寝床に潜りこんだり、志乃があかりを監視するのは行き過ぎた好意というギャグになっている。
ここまで繰り返し書いてるが、パンツを頭に被るというのはこうした変態性の記号だ。
変態性の記号として下着を被るという行為、発祥が今一つはっきりしない。典型としてよく知られるのが、あんど慶周の「究極!変態仮面」(1992年)だ。パンツを被って変身する(上の絵の右側のように)という設定とビジュアルはかなりの人間の記憶に焼き付けられた。
この変態仮面の更に原点ともいえるものが永井豪の「けっこう仮面」(1974年)だろう。こちらは覆面以外なにも隠していないい丸裸の女であり、そんな彼女が「おっぴろげジャンプ」を叩きつけたりする作品だ。こちらも突き抜けた設定で人々に記憶されている。
これらの影響は赤城大空の「下ネタという概念が存在しない退屈な世界」あたりにもみられる。
ただし、これらの作品はこうした変態が主人公なわけで、クレイジーサイコレズのように作品の一要素という扱いとは多少異なっているような気もする。
変態キャラの変態行為がギャグとして認識されるようになったのはいつなのかを考えるのが、クレイジーサイコレズを考察する上では大事になってくる。もちろん70年代のけっこう仮面の時代から、けっこう仮面はネタとして見られてきたと思う。
つまり古くから突き抜けたエロ描写はギャグになりうるという仮説がなりたつのだが検証が面倒臭いそれを証明するには、この記事では小さすぎる。
ただしそこまでとんでもない仮説だと私は思っている。
下ネタ、品のないジョークというのは世界中で見られるものだ。
性的なものがギャグになり得る理由としては
・性欲を持たない人間は稀なので、だれにでも理解されやすい。
・性行為は人間の動物性が露わになり、平時の振る舞いとのギャップが激しい。
・性は隠すべきものという価値観が一般化してくるにつれて、それを堂々と露出させるという行為が見る人間の予想を超えてくるから。
といったものが考えられる。
これらを総合すると
クレイジーサイコレズがパンツの被る理由は、作中でそのキャラクターの個性を見せつけると同時に下ネタで場の空気を緩めるコメディリリーフとしての役割を持っているからではないだろうか。少なくとも原作でそうした行為に走るキャラクターについてはこれで説明可能だ。
だからこそ、その異常性が笑えない域に達しているキャラはパンツをかぶらないのだ。
また同時にこれは下着を漁ったり無理に迫ったりすることは多くの人間にとって許容可能な異常性であることも示している。
この「変態性のセーフティゾーン」に関しては後で考察したい。
変態であることはギャグになるという仮説を踏まえて、次にいこう。
2-2:なぜ暁美ほむらはクレイジーサイコレズにされるのか。
白井黒子や赤座あかねがパンツを被る理由は説明らしきものができた。
では二次創作の設定でそのように振る舞うキャラは、なぜ変態にされてしまったのだろう。
これに関してもある程度はギャグのためという理屈で説明がつく。
クレイジーサイコレズになるキャラにはある程度傾向があって、それは原作だと真面目だったりあまり感情を表に出さないキャラクターであるということだ。
西住まほとか園田海未とか暁美ほむらとか、そういう原作ではクールよりのキャラはそういう風になりがちだ。
これはおかしなことをさせることで、普段のクールさとのギャップを狙っているものだと思われる。
また「でへへ……」って感じでパンツを被せるより、真顔でパンツを被せた方が面白いのでは? という発想から二重のボケが仕込まれているパターンもある。
こちらも真顔が似合うのは冷静なキャラなわけで、西住まほなんかは度々真顔で妹の下着を帽子にしてる絵を見かける(最近はみほのCPが拡散してきてそうでもない印象)
また、もとから情熱的な(もしくは特定に相手に執着する)キャラクターは、はじめからそういう方向性のキャラにされるか、あるいは逆に恋をしてしおらしくなるような演出がなされる。
だから、クールなキャラばかりが狙ったようにクレイジーサイコレズにされてしまうのである。
2-3:男×女、男×男での比較
ここまでは百合に関して見てきたが、では他のジャンルではどうなのか?
男×男に関しては私がジャンルに明るくないため、正直なところ分からない。
こうした記述を見る限りでは少なくとも存在はしていることが確認できる。
似たような方向性の言葉としては残念なイケメン・変態という名の淑女といった概念もありキャラの性別で大きな違いは存在しないのかもしれない。
ただ、変態とは多少違うかもしれないが、男性キャラの場合は美女なら誰でも口説く女好きというような文脈で語られることもあるように感じられる。冴羽獠とか。
この辺りは統計を取らないと何とも言えない。美女は決してみのがさない男キャラと男前には目がない女キャラならどちらが多いのかというのは面白そうなテーマではないだろうか。だれかやってくれ。
3:まとめ
ここまでで明らかになったのは
・クレイジーサイコレズにされるキャラクターにはある程度の傾向があること
・ギャグとして描かれる。
・こうしたネタの対象は(おそらく)男女を問わない。
ということが分かった。
クレイジーサイコレズみたいな二次設定が嫌いな人もいるというのは周知だけど、じゃあどこまでいくと変態になるのだろう。
そもそも大体の作品においてハッキリと恋愛感情が示唆されたキャラクターはそこまで多くない。
暁美ほむらはパンツをかぶらない!というなら鹿目まどかとレズセックスすることだってあり得ない。しかし、まどほむは変態ほむらさんの四倍広まっている。*5
なぜ比較対象が暁美ほむら自身*6ではなくまどほむなのかというと、大抵の場合ほむらの被るパンツはまどかのものだからだ。
これは他のキャラクターでも同様である。さきほどリンクを貼った変態化のタグは基本的にカップリングのタグに付けられる。
おそらく単なる変態という存在は一般的に受け入れられない。公式でも二次創作でも誰の下着でも構わないのではなく、この人の下着だから――という前提が必要とされている。
つまり多くの場合、変態キャラの絵というのはカップリング絵のバリエーションであって、変態性そのものが求められているわけではない。
パンツをかぶる大井っちではなく、北上さんのパンツをかぶるぐらい北上さんが好きな大井っちという概念が大切なのだ。
恋愛によって変わってしまう人間というテーマは昔から普遍的に用いられるテーマだ。嫉妬のあまり生霊になった六条御息所とかね。
普段はお堅いのに、一回り年下の小学生を好きになって冷静ではいられなくなってしまったお姉さんとか 、どうしようもないダメ人間が惚れた相手のために更生するとか、そういう愛による変化は恋愛もののお約束だ。
クレイジーサイコレズもその文脈の中に存在している。
また誰かを愛するあまり変態的な行動に出るというのは、二次創作の中で安牌でもある。
なぜなら嫉妬や執着、盲信で特定のキャラが身を滅ぼすような、愛による負の変化をテーマにした二次創作は
・話が重い(シリアス・暗い話は嫌われがちだ)
・嫉妬を書く上で複数人のキャラを登場させる必要があり、制御が難しい
・安直な形(包丁を持ち出すヤンデレのような)以外で表現すると長編になりやすい
といった制約が多い。
逆にダメ人間が立派な人間になるというような愛による正の変化をテーマにした作品はそもそも二次創作するまでもなく多くの物語でテーマにされがちで、二次創作上で語り直すことが、再解釈することが困難だ。
ここで誰かを好きなあまり変態になるというテーマは
・ギャクという前提があるので明るい雰囲気を維持できる。
・記号化された表現を使えば簡単かつ短いページで表現できる。
・原作にない表現となるので解釈の幅を持たせつつ、ある程度自由に書ける
といったメリットがあるので書きやすいのだろう。
そして解釈違いという最大のデメリットは変態化に限らず果てしなく不毛になりがちで敢えて突っこんでいく人間はまれだ。
ネチケットなど守られようもないのだ!
だから今日も女の子は女の子のパンツをかぶるのである。
以上が私の研究結果となる。
今後研究の精度を高めるうえで必要なのは変態になることがギャグとして扱われる経緯とか、そういう類だろうか。
一生分クレイジーサイコレズというワードを打ちこんだ気がする……
みんなも状況を読みつつたのしい二次創作ライフを送ってね!