【百合ブログ】百合Edge

人間無骨のブログ。百合のレビューをする。 Twitter:@ZoolockMetatron

百合で爆弾と石鹸を作る方法-百合物件備忘録

もたもたしてるとまた一ヶ月ぐらい放置しそうでヤバいなぁということでとりあえず自分が摂取して美味しかった百合物件を上げていこうと思う。

デッドスペースにかまけていたわけじゃないよ。

 

タチ『双角カンケイ』KRコミックス

この作品はすでにあちこちで取沙汰されていて、こんなミクロなブログで紹介する意義があるのかどうか分からないが、それでも自分の言葉でぜひとも推しておきたい。

 

入れ替わりがテーマだけあって人間関係がややこしいので許可を戴いた相関図を引用させてもらおう。どの「好き」も両思いでは無いのが地獄だ!

 

 

 

簡単なあらすじは『双子である""ひまり""になりすましてアルバイトに出た""あいり""は、自分のことをひまりだと思っているバイトの同僚、朝霧ちさきに告白されてしまう。成り行きでちさきとの交際を始めてしまったあいりは恋人と双子の両方からこの関係を隠し通す必要に駆られるが――』といった感じだ。

 

この漫画は入れ替わりに気づかれないよう毎回様々な発想で窮地を切り抜けるあいりの機転が見どころだ。

 

ちさきと話している時に""本人""であるひまりが通りがかればちさきを咄嗟に押し倒す

 

写メのやりとりを秘密にするために、あえて誰にも見せられないような恥ずかしい写真を撮る

 

ひまりとあいりの服装の違いを誤魔化すためにちさきの前で禊と称し下着だけになる。

 

と、まぁこんな具合で次から次へと大胆な手法でひまりになりすましたあいりは何も知らない恋人の目を欺いていく。

 

「ちさきと写真を撮ったことがひまりにばれたらまずい。彼女との写真は残せない」

「でもちさきは悲しそうだし何とか二人で写真を撮りたい……」

「恥ずかしい写真なら絶対に他人には見せないんじゃね???」

 

というサイコパスな思考の流れには感動すら覚えた。

アサシンの才能あるよあいりちゃん……

 

挙げたのはどれもラブコメではお約束なサービスシーンでもあるわけだけど、正直ハラハラしてそれどころではない。

 

双子の入れ替わりはかなり強引なトリックだし、それを誤魔化す手法も極めて力技だ。ふつうなら、ちさきが怪しんで終わりだろう。

しかしながら、ちさきは

・登録アドレスはあいり(彼女はひまりだと思っているが)とするまで家族だけ。

・付き合いだすと浮かれて際どい自撮りをあいりに送ってくる。

などなど結構危なっかしい人で、真相を知らないままどんどん交際のにのめりこんでいく。彼女なら、正直多少の疑問や違和感は飲みこんでしまうだろう。折角の恋人を離さないために。

 

露見すれば何もかもお終いだ! ちさきは裏切られていたと知るし、双子の仲もどうなるか分からない、なにより、ばれればあいりはちさきと付き合えなくなってしまう。

 

さらに、ひまりは不審な行動の目立つあいりのことを心配していて、親友のイチカに相談を持ちかけている。

またコトの発端であるバイト先の書店ではちさきのことが気になっているここみという後輩がいて、彼女は一枚絵で手錠やら拘束帯を思わせるリボンなど不穏なモチーフが度々用いられている。

 

今一番面白い百合という問いは答えるのがかなり難しいが、今一番目が離せない百合は間違いなく双角カンケイだ。

 

双子・親友・バイト先の先輩後輩など、それぞれの組み合わせ自体は百合漫画ではお約束に近いスタンダードなカップリングといえる。しかしそれが一つの作品の狭い人間関係にまとめて詰め込まれるとここまでの火薬庫になるとは思わなかった。

可愛らしい絵柄と無茶なサービスシーンにまるで日常系のようだと惑わされがちだが、双角カンケイは極めて危うい世界を構築している。

まるで台所用品で爆薬を作ったような百合作品だと思う。

 

タチ氏はすでに桜Trickという百合キスだけで百合厨を殴り殺す一点突破ストロングスタイルな作品が有名だ。

一方で、桜Trickはキスするだけ*1という評価が下されることもある。それは間違いない。恋愛のすったもんだが見たい人に桜Trickはものたりないだろう。

 

だが、双角カンケイは違う。これでもかというぐらい拗れる要素を一冊の中に詰め込んでいる。巻が進めば進むほど拗れていくことは間違いない。

 

桜Trickが銃なら双角カンケイは爆弾だ。

 

 桜Trickがお気に召さなかった人こそ、読んでみてほしい。

 

 

双角カンケイ。 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

双角カンケイ。 1巻 (まんがタイムKRコミックス)

 

 

 

焔すばる『桃百合学園~ひみつのソープ部R~』

ヒャッハー!!!!!!新鮮なレズセックス本だァ!!!!!!!!!

焔すばる氏はかなり希少な百合エロ漫画をコンスタントに発表している作家で、すでに「ちちゆりガールズ」が発売されている。

このソープ部Rもちちゆりガールズに収録されている『桃百合学園 ひみつのソープ部』の続編ともいえる作品だ。ちなみに同じ本には『搾乳淫魔<ミルキーサキュバス>リリィ』シリーズも収録されている。

内容はタイトルで全て理解できる。

・女の子がソープで女の子にえっちなことされる

これが桃百合学園ソープ部だ。学園ものでありがちな出資者だの教師だのそういうワケの分からねえ竿役は出てこない!!!!!!!!*2

一対一によるアレから複数の部員による百合えっち大車輪に至るまで、とにかくレズセックスがギチギチに詰め込まれている。

主人公となる子はソープ部が初体験だから、その目線で話は進んでいく。

『ソープってなに?お風呂屋さん??』という純情な読者のみなさんにも大変優しい仕様だ!!!!!

 

そもそもソープ部という部活からして効いている。ソープ部なんだから泡まみれになるのは当然だし、それ以上に無駄な思考は不要だ。

部活ということで一切の異論を許さないスタイルは、かの上連雀三平による『やまとなでシコ』にも通じる。あっちも『百合相撲<レズモウ>部』や『盗撮オナニー部』、『露出テニス部」とソープ部に負けないレベルで狂気に満ちている。

 

こういうこまけえことはいいんだよ!いいから黙ってレズセックスだ!!というノリの作品は貴重だ。彩百合やLもそうだけど、どうしても百合えっち本は百合漫画の延長で百合えっちしがちだ。エロ漫画の文法で百合えっちする作品は少ない。

これは悪いことではないけれど、出会い→告白→恋愛→レズセックスという流れになって、どうしても短編だと駆け足の展開になりがちだ。アンソロジー形式の彩百合系では特に顕著だと言える。普通の百合漫画にレズセックスを足したような形式だと、尺が厳しい。物足りない。ゆりゆりしていていいという人もいるだろうけど。

その点、ソープ部とかだと前振り→レズセックス1→レズセックス2→レズセックス3という構成にできるので通常の三倍レズセックスできることになる。なんでもかんでも性欲ベースで語るのは良くないかな? でもこういうのだって必要だよ!

 

とにかく速攻でレズセックスに雪崩込むような系統の話だって立派な百合創作だ。なにも臆する必要はない。わたしは百合エロ漫画家としての焔すばる氏を応援したい。

ほかにも(彩百合レーベル以外で)百合エロ漫画を描いている作家はいるけれど、基本的にヘテロエロ漫画がメインになりがちだ。焔すばる氏は百合を中心に書いてる作家であるという点も本当に稀有で、この路線のまま行ってほしいものである。

 

売れないからって結局、氏の作品がヘテロエロ漫画ばっかりになったらかなり切ないぞ??

あなたがレズセックスを追求するのなら、直接売り上げと金で支援するべきだ!!!

 

 

www.dlsite.com

ちちゆりガールズ (MOOG COMICS)

ちちゆりガールズ (MOOG COMICS)

 

 

*1:もちろん他にも素敵な要素はあるが、もっとも強いポイントはキスだし、それに反論は無いと思う 

*2:ラ■■■ブとかじゃありがちだよね