アカチャンゴッコ-女性向けと男性向け
百合というジャンルは女性向けの需要と男性向けの需要が複雑に絡みあっている。
大正時代から続く由緒正しき少女小説の系譜(いわゆるマリみてっぽい世界観や精神性)は今も生きているし、
一方で可愛い女の子が二人いればその可愛らしさは「1+1は2じゃないぞ。百合は1+1で200だ。10倍だぞ10倍」というノリによる女の子を前面に押し出した結果としての百合も存在する。
こういう傾向を単純に女性向け・男性向けに二分するのは正直乱暴でナンセンスだけど、ある程度は分けることが可能になってくるだろう。
自分が百合を作る時は、誰が読んでも楽しめるように(誰にでも読まれるように)作っているつもりではあるけれど、果たしてその挑戦――言ってみれば「女性向け・男性向けのいいとこどり」は実現可能だろうか?
「きっとできる」といいたいところだけど、俺のような未熟者ではまだそれを自らの腕で証明することはできない。
ただ、「いいとこどり」を実現するために努力はしている。
今回はその努力の軌跡をお見せしよう。
要するに自作の宣伝だぞ。しかたないだろ!他人の作品を勝手に判別したらまずいだろうし!!
つーわけで、今回はコレだ。
(リンク先は年齢制限だから、よいこのみんなは見ちゃダメだぞ!ドキドキしながらクリックしてね)
キャプションからして思い切り男性向けじゃねーか!!と突っ込まれそうだけど、
コレ、意図的に男性ウケしやすい要素を幾つかハズしてるんだよ!!ほんとだよ!!
内容についてはキャプションがすべてを物語っているので深く説明はしない。
本当に性格キツめの先輩ちゃんがアレな後輩にナニされるってだけです。
とりあえず作品の方向性を物語るタグを見てみると
スパンキング
おもらし
赤ちゃんプレイ
と、まぁ、弁明不能・家族会議確定系ワードがわんさか並んでいる。
だけど、待ってほしい。この手のモノは男性しか楽しんでいないのか?
とりあえず、Pixivで赤ちゃんプレイの作品を閲覧してみよう。すると結構、いわゆる女性向け――腐向けとされる作品が見られるのだ。
(ここでは「該当タグ+腐」というワードで検索を行っている。)
割合としては大体17%ぐらいがそうだ。小説に限れば35%程度に上がる。
おもらしに関しても、イラストでは圧倒的多数が男性向けと目されるものの、小説に関しては30%ほどが腐向けとなっている。
スパンキングもおもらしと同じくイラストでは勢力を誇らないけれど、小説となると44%ぐらいが腐向けという試算が出てくる。
数値を見てみると「特殊性癖に対する女性の需要は小説に集まる」という仮説もなりたつが、これに関してはまた別の機会に考察したい。
とにかくここで言いたいのは、「別にその手のタグが付いているからといって男性ウケしか狙っていないことにはならない」ってことだ。
確かに俺は男性が読むことも(はっきりといえばオカズにしてくれることを期待して)想定していたけれど、その上で女性も読むに堪えるものにしようとしている。
じゃあ自分が作中でどこに工夫したのかというと、
直截的な淫語を使わない
と言うことに関してはかなり気を使った。
もちろん淫語バリバリの汁気溢れる二郎系のエロ要素が大好きな女性だっているだろうが、自分がずっと百合本をキメていくなかで、「淫語」に関してははっきりと方向性に違い出ているように感じた。面倒臭くて統計はとってないので、あくまでも感覚的なものに過ぎないのだけれど。
もしも君の手元に百合姫ワイルドローズと彩百合があるなら、セリフに注意して読み比べてほしい。
たとえストーリーラインが似通っていても、そこにある違いは感じ取れるだろう。
自分の「アカチャンゴッコ」でもモロな描写は多少ぼかして、二人の内面だとか思考についてリソースを割いたつもりだ。
百合は肉体的なつながりより精神的なソレを重んじる、なんてことは口が裂けても言えないけれど、そういう要素が楽しむポイントの一つなのは間違いない。
だから、この作品でもヤるだけじゃなくてある程度は登場人物の関係性みたいなものも味わえるようにしている。
実際、女性向けと男性向けの明白な違いの一つとしては、
【AとBがレズセ■クスしているという文脈】に興奮するのか。
あるいは
【AとBがしているレズセ■クスという行為】に興奮するのか。
というものがあるようには思う。
アカチャンゴッコに限らず、拙作では常に上の要素盛り込むようにしている。
二次創作でも、単に首を挿げ替えただけにはしていないつもりだ。(これに関してはまだまだ修行が足りてない……)
百合モノをかきたい! って人は文脈に注目するとイイ感じになるんじゃないかな。
……とはいえ繰り返しになるけれど二つの要素は簡単に分断できるものではない。
今回の記事は俺個人の感覚的なものだということを忘れないでほしいな。