「屋上の百合霊さん」と「きみはね」がリメイク-百合ゲーで遊ぼう!!
【速報】「屋上の百合霊さん」フルボイス化計画始動!
— Liar-soft&raiL-soft (@liar_railsoft) 2017年3月24日
タイトル5周年を控え、とい天津氏と会合、決定しました!/詳細は後日ご報告いたします!ぜひフォローを宜しくお願い申し上げます!(2017年3月24日)/作品詳細→ https://t.co/3XspIXdcNT
【発売日決定!】『きみはねCouples』の発売日が6月30日に決定しました!2月24日からは店頭予約も開始されます!一番ハッピーなガールズラブAVG『きみはねCouples』をよろしくお願いします! https://t.co/2DRekkOslz #きみはね #百合 pic.twitter.com/ZRuMECv6lw
— BaseSonLight公式@きみはね (@BaseSonLight) 2017年2月21日
相次いで百合ゲーのリメイク決定!
新作もよるのないくに2*1が控えてるし、漫画や小説だけではなくゲームでも充実した百合生活が楽しめそうだね!
どちらもリメイクになる*2から、どうせならリメイク版を購入することをお勧めするけれど「それはそうとしてどういうゲームなんだい?」って人のためにここで簡単なレビューを書いておきたいな!
屋上の百合霊さんは2012年に発売された成年向けPCゲームで、現在はsteamで英語版も配信されている。
R-18なのにSteam?と思うかも知れないけれど、なんと本編は無修正だ。
なにせ全くエロ要素はないからね! 一応百合えっちシーンはあるけど内容は至ってお上品なもので、ヴァルキリードライヴの方がよほどレズセックスしてるって思えるぐらいだ! モロなエロ描写は苦手という人も安心してほしい。
複数の固定カップリングを追っていくオムニバス形式になっているから、「あの娘にキスと白百合を」が好きな人なんかは馴染みやすいんじゃないかな!
5年前のゲームながら、リメイク(……の計画だから実は確定じゃないんだけれど)が決まったというのはそれだけ世界中の多くのユーザーに愛されたということだし、その評価に足りるだけの作品だと私は思っている。
関連作品も多くて、ヤングアニマルで「私は君を泣かせたい」を連載する文尾文先生、そして「合法百合夫婦本」や「小百合さんの妹は天使」などで知られる伊藤ハチ先生が外伝のコミカライズを手がけていることも見逃せない。
原作の雰囲気を感じてみたいなら、こちらのコミックを手に取ってみるのもありだ。
コミック版の登場人物がメインになっているから、単独の百合作品としても成立しているからね。
本編で登場する女の子は全員女の子とお付き合いしてるんだぜ!?
そのなれそめが気になってこないか!? くるだろう!?!?!?
屋上の百合霊さんSIDE A もうひとつのユリトピア (ひらり、コミックス)
- 作者: 伊藤ハチ,Liar-soft (原作),
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2015/04/30
- メディア: コミック
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屋上の百合霊さんSIDE B 仲良しクイズ (ひらり、コミックス)
- 作者: 文尾文(作画),とい天津(ストーリー),Liar-soft (原作)
- 出版社/メーカー: 新書館
- 発売日: 2015/04/30
- メディア: コミック
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さて、ちょっと話がそれたけれど本編のあらすじとしては、
とある理由から深い人付き合いを避けていた「遠見結奈」が学校の屋上で二人の幽霊「榎木サチ」と「永谷恵」に出会い、彼女たちに「とあるお願い」を頼まれる……というものだ。
このお願いの内容、可愛らしい作風に反して意外とロックで「最高の初体験がしたいけれど方法が分からないから、女の子同士が校内で百合えっちするようにお膳立てしてほしい」ってものだ。
中々衝撃的なお願いではあるけれど、「大きな一歩」が踏み出せないでいる子のために恋愛成就のお手伝いをしてあげてほしいって考えればそこまでショッキングでもないだろう。
かくして、元々人助けが嫌いではない結奈は百合カップル成立のために動き出すこととなる。
百合霊さんの魅力はカップル成立までをとても丁寧に描写していくところだ。
死後に運命の出会いを果たし、人生の先輩として、同年代の女の子として結奈と交流を深めていく「榎木サチ×永谷恵」
憧れの人に近づきたくて一生懸命な後輩と、誰からも頼られる立場でいることに疲れ始めている先輩という組み合わせの「牧聖苗×相原美紀」
入学してからずっと仲良くしてきた中で、次第に友情と愛情のあわいでとまどう「双野沙紗」と「一木羽美」、そして二人を見守る「三山音七」
大好きな先生への恋心を自覚して真っ直ぐに思いを伝える生徒と、その思いを拒んでしまった先生という「剣峰桐×園生月代」
一目惚れしたオンナに一世一代の告白を決めてやろうとするロックガールと彼女に驚かされるのを楽しみしている風紀委員な「古場陽香×有遊愛来」
愛しているからこそ添い遂げるためにいろいろな制約を課そうとする副部長と、愛しているからこそいつでもいちゃついていたい部長の「稲本美夕×網島茉莉」
そして、百合霊さんの手伝いを続けるうちに過去と向き合い、前向きになり始める「遠見結奈」と彼女を支える強可愛い幼なじみ「狛野比奈」、いつでも結奈を助けてくれる「阿野藤」
百合霊という設定と出だしは突拍子もないものかもしれない。しかし彼女たちの人物設定は本編に出てこないところまで作り込まれていて、それぞれが好きな相手と結ばれるまでの数ヶ月は様々な視点で詳細に描かれていく。
結奈という観察者の視点、運命の人と出会った当事者の視点、それぞれの視点を詳細に追体験できるのはノベルゲームというゲームの形式ならではだろう。
互いに意識してあってから、意を決しての告白、そして思いを通わせて結ばれるまでを 描写するのは恋愛モノの王道ではあるけれど、百合霊さんでは一組のカップルに集中するのではなく全ルートを少しずつ進めていく方式なのも個人的な好みだ。
そのとき、全員がいたからこそ「ユリトピア」が実現できたのだと感じさせるからね。後からまとめて一つのルートを見返すと二度おいしいんだ!
カップリング以外でも横のつながりを感じさせる描写はちょくちょく見られて、それがまたおいしいんだよね。ドラマCDでも拾われるネタだからチェックしておきたいね。
結奈視点と個別ルートの視点で若干描写が被ったりする場面もあり、やや冗長になっているところも欠点としてはある。それから後述するけど「とある欠落」が少々気になるんだけど、それを補ってあまりあるぐらい「百合」の「ノベルゲーム」をすることへの体験を追求しているのが屋上の百合霊さんだ。
発売から五年経っても、結局(ある意味で残念なことに)百合霊さんのような路線と規模の百合ゲーは出てきていないように感じる。それだけ百合霊さんは強固に作りこまれたゲームだし、なんだかんだで五年間埋もれなかっただけの力はある。
過剰な性描写や極端なキャラ設定はなく、百合が好きで成人であるなら間違いなくオススメできるゲームだよ!本編が気に入ったならドラマCDや半公式同人誌もある!!
リメイク版は絶対買おうな!!!!!
さぁ、きみはねの方もレビューするぞ!!
「きみはね」は2015年に恋姫無双で知られるBaseSonの姉妹ブランドBaseSonLightより発売された百合ノベルゲームだ!
公式サイトのコンセプトを引用しておこう。
【全寮制の女子校を舞台に描かれるルームメイト三人の友情と恋のスケッチ】
まるで性格の違う三人の少女が織りなす日常コメディ。
四コマ漫画のようにテンポよくエピソードが積み重ねられていく
ミルフィーユのように甘いガールズラブストーリー。(きみはね公式サイトより)
とまぁ、このように「きみはね」は「きらら」なんかの日常系4コマ漫画*3を意識してる作風に なっている。女の子達の可愛らしい日常シーンを観測するって感じだ。
屋上の百合霊さんではそれぞれの登場人物の一人称だけれど、こちらでは明確に観測者の視点から物語は描写される。百合霊さん視点とでもいうべきかな。
日常系という言葉を使ったように、本編の空気感は非常に緩やかで、映画や音楽の引用を織り交ぜることで、どこかにありそうだけれどどこにもない理想の日常というのをうまく表現できているんじゃないかなって思うよ。
エロ描写も大分抑えめだけど、百合霊さんよりは「レズセックス寄り」に感じたかな。絵柄は可愛らしいし道具もないから大人しいものだけれど。
さて、この作品で特に注目すべきなのは登場人物が三人組であることを生かして、全員でカップリングを組めるように作ってあることだ。
誰でもくっつく可能性があるのなら全員くっつけてしまおう!って発想は天才的だね!
けいおんで「律澪」は最高!でも「律梓」もおいしい!「唯澪」もイケるんだよな!ああ、「唯梓」もグッドだし「律紬」も素晴らしい!「梓紬」もたまらんなぁ!!みたいな人向けだ!
ただ、百合霊さんと比べると今一歩足りないって感じた部分もある。
「きみはね」はここまで書いたように性描写よりも、カップルが睦み合う日常に重点を置いた作品だ。しかしながら、「どのカップリングにもキスシーンのCGが存在しない」。百合えっちシーンのCGはあるんだけど、キスシーン(カップル成立と読み替えてもいい)のCGが無いのはかなり勿体ない。*4
百合えっちのCGがあるのに、キスシーンやいちゃつきシーンにはCGがない――
実は、百合霊さんの一部のカップルにも同じ現象が起きている。実用*5目的ではなく鑑賞用というか心をほっこりさせたい目的のゲームで優先されるべきは「レズセックス」より「いちゃいちゃ」するところではないだろうか。
もちろん両方そろってるのがベストだし、制作側にもリソースの問題が常につきまとうから(特に低価格帯の「きみはね」では)取捨選択があるのは仕方ないんだけれども。
ただ、いちゃいちゃCGがたりないって問題はどちらもリメイクで補完されることが期待できる! とくに「きみはね」は新規シーン・CGの追加が明記されているのでほぼ間違いなくこのあたりの問題点は克服されているだろう!
まずは6月30日の『きみはねCouples』を見逃すな!!