2016年の百合を振り返る-今さら何言ってんの?
ああ、4か月サボった……。
FF15とシャドウバースがすべて悪いんだよ。
私がウダウダしてる間になんとこんな零細ブログの記事をリスペクトくれた方が素晴らしい記事を書いてくれたんだ! 力ある言葉たちの数々を是非読んでほしい!
さぁて、いよいよ2016年も終わり!!もう2017年だわ!!!!!!
こっちのブログでは、今年どんな百合があったのかを1か月ごとに振り返ってみたい!
また備忘録も兼ねて1か月ごとにその月に摂取した百合漫画も紹介していくぞ
そして来年、どんな百合が拝めるのかを考えてみようじゃないか!
では行ってみよう!
1月
――お正月には凧あげて、独楽を回して、姫はじめ!!!
年明け早々に百合好きを激震させたのは大奥スペシャル版*1の放送だった!!
大奥と言えば女の感情が渦巻く伏魔殿!!
そして女の感情あるところに百合は在り!!
「そなたの肌に、男が触れると思うと虫唾が走る。可愛い人、誰にもやらぬ」
――本編より
地上波で、潤沢な予算で、有名な俳優で、百合を摂取できる僥倖!
2016年が素晴らしい1年になるのはこの時点で確定だったね!
沢尻エリカと渡辺麻友のキスシーンが見たいなら、今からでも遅くはない!
どうやらソフト化されてはいないようだけどオンデマンド配信はされてるぞ!
それと、手前味噌ながら当ブログでもレズセックス研究の発表を行ったのがこの月だった!
貝合わせはメジャーな体位なのか?
レズセックスでよく使われる指は中指と人差し指? それとも中指と薬指?
気になるのなら見てみてほしいな!
そして1月に発売されたベスト百合漫画は
森永みるくの「ハナとヒナは放課後」
ハナとヒナは放課後(1) (アクションコミックス(月刊アクション))
- 作者: 森永みるく
- 出版社/メーカー: 双葉社
- 発売日: 2016/01/12
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
を推そう!
可愛らしい先輩ハナ(ちび)×クールで綺麗な後輩ヒナ(高身長)という組み合わせで、とにかく善良なハナとそんな彼女が大好きなヒナがゆっくりと距離を縮めていくストーリーも真新しさはないかもしれない。しかし可愛いものが大好きなヒナが一途にハナを思う描写は百合漫画の王道を征くものだ! レズセックスや多角関係に疲れた時にほっと一息つける、そんな安らぎのある漫画だよ!
(可愛い年上、可愛いもの大好きなクール年下という構図……限界まで上品にしたヴァルキリードライヴといえば想像しやすいかもしれない)
2月
『俺』は外! 百合は内!!
そろそろ冬コミの戦利品も摂取し終えた後で百合好き達を待ち構えていたのは
だった!
これは昨年放送されていたselector spread WIXOSSの劇場版で、新規カットを加えた総集編といった塩梅のものだ!
地上波放送版のウィクロス自体が誰も予想しないぐらい禍々しい百合をたんまり提供してくれたが、映画版では新たにるみさちというカップリングが追加された!
ネタバレはしたくないから多くは語らないが、他人を傷つけるのが大好きという御無体な嗜癖をもったウリスの掘り下げは、すでにアニメで本編を見た人にも見逃せないだろう!
2月のベスト百合漫画は
缶乃の『あの娘にキスと白百合を(4)』
あの娘にキスと白百合を 4<あの娘にキスと白百合を> (コミックアライブ)
- 作者: 缶乃
- 出版社/メーカー: KADOKAWA / メディアファクトリー
- 発売日: 2016/02/23
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (2件) を見る
一択だ!
続き物なので、これ以降はカウントしないがあのキスは現環境で最強の百合漫画といって差支えはないだろう。
クドすぎず、媚びすぎてない爽やかな絵柄! 綺麗なだけではなく負の感情も絡んだ関係性! キスシーンの美しさ! ドラマCDなどの展開力! 現代百合漫画でコレを超える作品はなかなか出てこないだろう。
『マリア様がみてる』『屋上の百合霊さん』『少女セクト』『悪魔のリドル』、名作といわれる作品は複数のカップルを描くものが多い。カップルが多いとそれぞれにファンもつきやすいからね!
主要なカップルはあるものの、基本的に複数のカップルを描写するオムニバス形式になっているので、その気になれば長期間続けられるという点がとにかく強い。
百合漫画は恋愛ものが多く、おまけにラブコメのように複数のヒロインを用意する形式のものはすくないから引き伸ばしは難しいように感じる。そうした時に、初めから複数のカップリングを用意するという解答はとてもスマートではないだろうか。
3月!
親友という関係からの、卒業
3月のニュースはアサパ3開催を推したい。手前味噌ながら悪魔のリドルは大好きだし、同人誌も作ったからね……。
このアサパ3の時点でアニメ放送終了から大体2年ほど経過していて、それなのに結構なサークルが参加したのは本当に奇跡的なことだった。また同人誌を作りたいね……。
さて、3月のベスト百合漫画は
タチの『双角カンケイ』だ!
双角カンケイ。 (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)
- 作者: タチ
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2016/03/12
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (1件) を見る
百合で爆弾と石鹸を作る方法-百合物件備忘録 - 【百合ブログ】百合Edge R&D
ここでも散々語ったから見てくれ(直球)
最近になって完結巻も発売された、ドロドロぐちゃぐちゃな百合多角関係! 双子の入れ替わりという複雑なテーマもさることながら、入れ替わりを誤魔化すための力技の数々が本当に楽しい作品だった。二巻で終わるのは本当に惜しいよ……。
4月
さぁ皆さんご一緒に!「わぁ綺麗な子……」
4月のビッグニュースはアイカツスターズの放送開始だろう!
高い評価を受けているアイカツから世界観を一新、男性キャラも主要人物になるということで、不安視されたものの、スターズもまた期待を裏切らないものになったのではないだろうか。
先のブログで取り上げられていたように劇場版同性愛というパワーワードも生まれたしね!
私は貯めちゃってて最新話まで追えてないのだけれど……今後も元気なジャンルであることは間違いない! 女児アニメは女の子が主要キャラとなって物語を回していくし、子供向けであるからこそフラットで先進的な価値観がもりこまれている作品も増えてきている。百合との親和性はますます高まってきているように感じるね。
4月のベスト百合漫画は
狛句の「私のシュミってヘンですか?」
を推させてもらおう!
「やがて君になる」や「月が綺麗ですね」なんかの強豪も発売された月だけれど、こちらも負けてはいないと思ってるよ!
成年向けのLガールズが最長百合アンソロになったり、一般レーベルでも百合エロ漫画が発売されたりと、百合エロ漫画は今年に入ってからとても元気だ!
そうした漫画の中でこの作品は音やお尻といったフェティッシュな要素に重点を推しているのが他の漫画との明白な違いと言える。
(性的な)フェティシズムを取り上げるのは、ほかの媒体では難しいことだし行為の描写にも幅が出てくるからとってもいいアイデアだったんじゃないかと思う。今後も活躍してほしいね!
5月
ゴールデンユリィークはどう過ごしたかな?
5月にあった大事件、それは荻野純の復活をおいてほかにない!
氏は2013年~2014年にジャンプSQで「γ-ガンマ-」を連載していた。
ガンマの見どころはアメコミ、魔法少女、戦隊ヒーローといった様々なヒーローが入り乱れる物語もさることながら「さりげなく百合要素がすごい」ことだった。
本編の途中までは、エッセンス程度に匂わされるだけだった百合要素が終盤ではエンジン全開、キスもするしそれ以上のことだってする。そういう衝撃的な展開に当時は腰を抜かしそうになったね、こりゃ本物だぞって。
それから数年後、ほとんど作品を発表していなかった氏が突然百合エロ漫画で復帰したのだ!
荻野先生に依頼したLガールズ(当時はL)の編集部はまさに慧眼の持ち主といえるだろう。界隈で密かに注目されていた氏を登用することで、ちょっとした大御所に描いてもらうよりも、よっぽど分かり易く「レズセックスに本気で取り組んでる」ってことをアピールしてみせたからね! そういう百合好きを絶対に逃さない姿勢が最長記録更新につながったのだと思う。これからも応援したい。
そういうわけで5月のベスト百合漫画は「L Ladies & Girls Love 11」!
エロ漫画ばっかだな!
この巻には荻野先生は登場していないのだけれど、すどおかおる先生のレズセックストーナメントやタカハギケモノ先生の傷のなめ合いックスが楽しめるぞ!
6月
お好みはジメジメバームクーヘンエンド?
それともあかるくジューンブライド??
デストロ246、完結。
百合好き達はとても大きなものを失った。2012年から類まれな暴力と『男は惨殺』というルールを徹底し続けた最高にジャンキーな百合漫画はもう続きが読めないのだ。
デストロ246はとにかく男がゴミクズのように死んで女アサシンが大暴れするというその筋が大喜びする漫画だ。ラストは結構賛否両論なんだけど、少なくともその方針だけは最後まで貫かれた。血と暴力に彩られた百合漫画としてこれからも記憶に残り続けるだろう。ありがとう、デストロ246
7月
海開き! だけど百合の海は大抵冬の海!
百合妊娠!
やっぱ大ニュースはコレでしょ。こちらも散々語ったので記事を張っておくぞ
妊世界秩序-百合妊娠レビュー - 【百合ブログ】百合Edge R&D
レズセックスで妊娠というキャッチーもさることながら、妊娠というテーマを処理する上でSFやファンタジーなどの要素が用いられ、世界観にも広がりがあるアンソロとなった。百合触手なるアンソロも企画されているようだが、こちらはどうなるか見ものだ。どうせなら異種百合とかにしてほしかったかも……。
さて7月の百合漫画はコレ!
百合妊娠を大ニュースに挙げたが、こちらも負けていない!
小百合さんの妹は天使 1 (MFコミックス フラッパーシリーズ)
- 作者: 伊藤ハチ
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2015/01/23
- メディア: コミック
- この商品を含むブログ (5件) を見る
「お姉ちゃんの処女が欲しい」「おねえちゃんと同じ産道も通ってないくせに」などなど、溢れんばかりの妹の愛情でブン殴ってくるストロングスタイル百合漫画。
伊藤ハチ先生の美しい絵柄から容赦なく飛んでくるパワーワードにはひざを折るしかないってもんだ。角川百合漫画三柱で最初に完結してしまった作品だが、フルパワーの姉妹百合と躊躇ない愛は決して、繊細で思いを秘めるだけではない百合の新時代を見せてくれると約束しよう!
8月
女の子同士のひと夏の過ち……
8月、それはPSVitaでカタハネが遊べるようになった月!
多くは語るまい……やってみよう!
さぁ8月の百合漫画はデストロ246の悲しみを乗り越え、新たな暴力へと君を駆り立てる漫画だぞ!
よしむらかな「MURCIÉLAGO」
MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ- 1巻 MURCIELAGO -ムルシエラゴ- (デジタル版ヤングガンガンコミックス)
- 作者: よしむらかな
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2014/04/25
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
暴力百合漫画においてムルシエはデストロ246との双璧だが、デストロ246がものすごく強いレズの群像劇だとしたら、こちらはものすごく強いレズの冒険譚とでもいえばいいのか。ムルシエは紅守黒湖という怪物に焦点を当てていて、その活躍を楽しむというシティーハンターやコブラの系譜、いわゆる俺TUEE系に近いかな、と思う。オマケ漫画が「出会い系で女の子をいただくだけ」というインパクトがすごすぎたよ……。
9月
読書の秋には百合小説が最適だ!
アフターアワーズ
ブログで語りつくしてしまった感はある。未だに続刊の話は聞かない……商業的な成功というのは絶対に外せないテーマだ。売れればよいという考え方は正しくないにしても間違っているとも言い切れないように私は感じるが……。
9月の百合漫画なんだけど……うん……俺の本棚に9月の百合漫画がないんだ……
シャドバとベルセリアにかまけてて、最新の百合を更新してなかった。不明を恥じます……。
10月
Trick(悪戯にする)&Treat(やさしくする)
もうこのニュースしかないだろう、一迅社が統合された!
講談社×一迅社!!!!!!
浅学ゆえにこれから先のことは読めない。講談社の意向がどれだけ百合姫に影響を与えるのかは未知数だ……。ヤンキー百合とか増えねえかなぁ……。
10月のベスト百合はお約束のコレ!
タチ「桜Trick」
1巻から触れられてきた卒業、そして廃校に向けて走り出す巻だ。春香×優だけにとどまらず、楓×ゆず、しずく×コトネも一歩踏み出そうとしているのが最新刊だ。キスが主題であるのは間違いないけれど、春香と優だけではなく周囲の少女たちの感情も丁寧にくみ取っていくところが桜Trickがここまで続いた理由ではないだろうか。
11月
ポッキーゲーム、それだけで十分だろう。
捏造トラップとCitrusがアニメになるというニュースは界隈を震撼させた。
どちらも素直な百合漫画ではなく、賛否両論といった空気を私は感じた。
この二作が選ばれたのは、売り上げや知名度もあるだろうが、これまでの百合とは違う方向性を打ち出すことで新しい読者・視聴者層をゲットしたいという百合姫の思惑があるのではないだろうか。
いい悪いではなく、どうしても百合に詳しくない人に百合のイメージを聞くと「マリみて」的な、静かな空間で見つめあう女学生のビジョンが投げ返されてくる。そうしたタイプとは違う二作をぶつけることで、百合のすそ野を広げようとする試みを私は支持したい。売れれば素直な百合漫画だってチャンスが回ってくるしな!
穿った見方をすると「あのキス」と「やがて君になる」がメディアミックスした時、並大抵の百合漫画では勝ち目がないから敢えて別のルートで攻めてきたのかな? とも推測できるよね。
11月の百合漫画……もう予想は付いているんじゃないかな?
あなたに響く百合アンソロジー「エクレア」
超最強百合アンソロがいよいよ登場した。
天野しゅにんた先生の作品が一番好きだな!
12月
メリーユリスマス エンジョイ百合の6時間!
連載から4年
アニメ放送から2年
悪魔のリドルがついに完結!
悪魔のリドルは闇鍋的な作品で、ここから様々な繋がりも生まれたし、個人的には凄く思い入れが深い。悪魔のリドルは実家。
ビックリ面白レズビアンと脱力必至な公式が本当に妙なぐあいで噛み合ってたね……。
そして12月の百合漫画と言えばコレしかないだろう!
江島絵理「柚子森さん」
野間みみかはロリコンである。おねロリ信者としてこれを語らずに済ませてはいけないな!
この漫画はとあるシーンの台詞である「ロリコンなんじゃん?」がすべてを説明してくれる。どこにでもいるような女子高生が、小学生に一目ぼれしたことで何もかも一変するというのがあらすじで、物語としては単純なぐらいかもしれない。
しかしながら、かの『ロリータ』で語られているニンフェットとしか言いようのない柚子森さんの妖しい魅力と、そんな彼女に本気の性欲を向けるみみかの構図は色々な意味で目が離せない。
真面目に語れば、みみかは決して性的な魅力だけで柚子森さんに惹かれているわけではなく、そうした愛情と性欲のギリギリのせめぎ合いこそがこの漫画の最大の魅力といえるだろう。エロスとアガペーは排反せず、両立する。みみかが己のロリコン性に打ち克つかどうか、その行く末を見守りたい。
とりあえず2016年は大ニュースが多かったね! 作品の完結と誕生は毎年あるものだけど、百合姫周辺の環境がガラっと変わった一年だった。
これがどう影響するのか、それをまずは見守っていきたいところだ!
1月が終わる前に投稿だけはしたいから、とりあえずこの辺で!
今年もよろしくね! そして最高の百合を!
百合アンソロへの追憶「つぼみ」編-君が見たすべての百合
『あなたに響く百合アンソロジー エクレア』の制作が決定した。
執筆陣として、既に「やがて君になる」の仲谷鳰先生が公表されている。
電撃という看板の大きさは今更語るまでもあるまい。
エクレアはKADOKAWAという考えうる中で最も強大な組織が手掛けた百合アンソロだ。オタクをやっていたら、どこかでKADOKAWAの名前を見ているだろう?
百合好きなみんなはもちろん、百合のことをよく知らないけどなんかいいなって思ってる人も、買ってほしいんだ。
アンソロジーは詞華集ともいう。その語源はギリシア語 anthos (花) +legein (摘む) で,花束だとされている。
大正の名著「花物語」では、女同士の関係性を花に例えた。
百合アンソロは色とりどりの花束なのだ。
百合アンソロの利点は、まさにこの「いろいろな作品に触れられる」という点にある。
絵柄・作風・舞台・設定が異なる様々な作品をまとめて読めることは、とりわけ百合の世界に入門してきたばかりの初心者にはありがたいことだと思う。気に入った方向性のものを探しやすいからね!
百合というものが分からない人は、百合アンソロの中から気に入った作風のものを見つけ出してほしい。
百合に長らく親しんできた人は普段とは違う花を愛でる機会になるだろう。
アンソロジーは百合の世界を広げることに大きく貢献する。
また、多くの百合アンソロは単行本の形態をとるため、ISBNコードを持つ。なので個別の本屋で取り寄せてもらうこともできるし、中古市場に出回っても雑誌よりも処分されにくい。既刊を手に入れやすいという点は雑誌に大きく勝るポイントだ。
さらにさらに、普段百合を描かない作家さんが登場していることもあるし、そうした短編は単行本化されにくいから超レアだ!!! 1000円ぐらい課金したら、そういうSSRが無料で手に入っちまうんだ!
まだまだ発展しなければならない百合にとってアンロソジーの価値は計り知れないと断言しよう!
君は覚えているだろうか? これまでの百合アンソロを。
これまでに様々な百合アンソロが現れては消えていった。中には一冊目で失われたものだってある。
どのようなものでも終わりは訪れる。商業で行われているものはなおさらシビアだ。
花束は枯れ、いずれ消えゆく。
しかし、その想い出を語り継ぐことはできるはずだ。
今回は私が所持している百合アンソロの紹介を行いたい。
「あまくてやさしい百合アンソロジー つぼみ」
2009年2月~2012年12月(季刊→隔月)
つぼみ VOL.4 (まんがタイムKRコミックス GLシリーズ)
- 作者: 鳴子ハナハル他
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2009/11/11
- メディア: コミック
- 購入: 5人 クリック: 108回
- この商品を含むブログ (43件) を見る
私がはじめて買った百合アンソロはつぼみのVol.4だった。当時の最新刊だった。
私は百合というものをほとんど理解していなかった。*1ただ、百合というものがとても心を躍らせてくれる素敵なものということだけは分かっていた。インターネットで百合SSを探すことはあっても、もっと濃いというか、とにかくみっしりと百合が詰まったものはどうすれば摂取できるのか全然知らなかった。
私は百合を探していた。
そういう時に、「ここに載ってるのは全部百合漫画」ってのはとても刺激的で、なんだか信じられないものだった。はぐれメタル8匹に出会ったような気持ちだったね。
途中からの話だったんだけど、星川銀座四丁目が良かった。
新米教師と不登校少女の百合なんだ、二人して生活するんだぜ? 最高だろ?
このころからおねロリが好きだったんだねえ……
そういうわけで既刊であったVol.1~3もそろえるのに時間はかからなかった。季刊が隔月に変わった時は本当にわくわくしたもんさ。
それから休刊までずっと買ってきたけど、Vol.21で、つぼみが終わるなんて信じられなかった。それまで当たり前のように隔月で百合をくれたんだ。行きつけの店が急に閉まって、お気に入りの料理も気の合う常連とも二度と会えなくなるなんて信じられなかった……
――と、まぁ、つぼみは凄く思い入れがあってこれだけで無限に想い出話ができるんだけど、それは本筋ではないしそろそろ中身の解説に移ろう!
あまくてやさしいというのキャッチコピーにしてるだけあって、基本的に構成はとても素直だ。百合全体の割合もそうではあるが、学生同士の百合が多くて、キツい描写も少ない。スタンダードすぎるという弱みはあるかもしれないが、王道とは常に実家のような安心感を与えてくれるものだろう?
よくわからないけど、まずは百合というものを知ってみたいなら、つぼみを読んでみれば間違いない。
それから、長期にわたって百合を供給し続けたという点もかなり大事だと思う。
あと、これは当時買っていた人にしかわからないかもしれないが、毎度毎度よくわからないオシャレな数式が帯に載っていたね!
(つぼみVol.12より。小梅けいと先生の「ロボ×少女技師」百合が読めるぞッ!)
こういう感じでルビが振ってあるわけだ。あれも結構楽しみだったなぁ……
つぼみで執筆した有名な作家としては
・吉富昭仁
・玄鉄絢
・鳴子ハルナル
・コダマナオコ
辺りが挙げられるだろう。
一筋縄ではいかない、感情の絡まり合いを描くような漫画が多いきづきあきら+サトウナンキのエビスさんとホテイさんが読めるのはつぼみだけ!!!
嫉妬も葛藤も懊悩も、エビホテにばっちり刻み込まれているぞ!
それから「あまくてやさしい」という方向性からすれば意外かもしれないが成年向けの漫画で活躍している作家も結構登場している。
・東山翔
・イコール
なんかがいるね!
つぼみではエロ漫画を描いてるわけではないから、いつもお世話になってる! って人は試しにどうかな???? あたらしい世界の扉を開いてみないか???
特に東山翔先生の「prism」は素晴らしいと断言できる百合漫画だよ!
prism (1) (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)
- 作者: 東山翔
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2012/04/12
- メディア: コミック
- 購入: 12人 クリック: 127回
- この商品を含むブログ (24件) を見る
爽やかな絵柄と透き通った空気感とほのかなエロスがな……夏の日に気だるく飲んだサイダーみたいな味わいっていうか……。ゆるゆりの百合成分を思い切り正統派に増幅した感じっていうか……最高……!
でも、そんなprismも、ちょっとアレな一件で連載がストップして、そのまま再開かなわぬままにつぼみは枯れてしまったんだ……。
これはなんの根拠もないアレなんだけど、とりわけロリ系のエロ漫画を描いてる作家さんは百合漫画でも強い力を発揮するように感じるね! 普通のヘテロセックス以上に「可愛らしい女の子」という要素に普段からリソースが割かれているからだろうか?
こうした成年向け中心の作家を招聘するというスタイルは後日紹介予定のメバエにも受け継がれたね!
つぼみが刊行されていた、2010年代初めは「魔法少女まどか☆マギカ」「けいおん」といった百合アニメ的にもビッグタイトルが放送されていた。
いわゆる日常系という概念が誕生、発展しつつあった時代だった。
日常系と百合の親和性は高い。日常系アニメは「きらら系」とも呼ばれ、まさにそうした漫画を得意とする芳文社が百合アンソロを刊行したのはまさに歴史の必然と言える。
特にあらた伊里先生の「総合タワーリシチ」は他誌の日常系漫画とも十分に張り合えるスペックだったのではないだろうか?
タワーリシチでは、現状でも特に強い「あの娘にキスと白百合を」でも用いられている「努力家の秀才×ふわふわした天才」というカップリングをメインに据えている。
しかし、あのキスと違うのは、作品のテンションだろう。
とにかく騒々しくて賑々しい。
暴言だって飛び交うし、変顔絶叫は毎度のことだ! 百合漫画は繊細!なんて価値観を笑い飛ばすテンションは、唯一無二だった。
実際アニメ化の話もあったらしいけど……うう……っ!
それから意外なところだと、現在も連載中のアトム ザ・ビギニングなど、メカ描写に定評のあるカサハラテツロー先生もつぼみで描いていたんだ。
もちろん、その持ち味であるメカの描写を存分に活かしてね。↓
タンデムLOVER (まんがタイムKRコミックス つぼみシリーズ)
- 作者: カサハラテツロー
- 出版社/メーカー: 芳文社
- 発売日: 2011/02/12
- メディア: コミック
- 購入: 4人 クリック: 76回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
ゴツくてむせるような武骨なロボット、タンデマインは名の通り二人で操縦するロボットだ。表紙のように肩車みたいな恰好で操縦し、戦闘や立体起動も行えるという、優雅さとは無縁な実用本位のマシンでもある。
狭い機内、連携が不可欠な操縦、真後ろにいるパートナー……何も起きないはずがなく……
ガルパン、ストライクウィッチーズ、艦これのようにイカつい兵器と女の子の組み合わせは定番だが、そこに細やかなマシン描写と二人で一つという百合要素が組み込まれている漫画はタンデムLOVERだけだろう。
ガジェットに惹かれる君は手に取ってみるべきだ!!
機体後方の索敵担当は設計上*7、けっこう恥ずかしい体勢というケレン味もあるよ!
それからそれから、陰のある女教師とクールな子のカップリングが素敵な、きぎたつみ先生の「共鳴するエコー」とか、「ひとりぼっちの地球侵略」でも知られる小川麻衣子先生の、お互いを傷つけあうほどに息苦しい「魚の見る夢」とか、すすけた空気感とは対照的に色鮮やかな百合を見せてくれた宇河弘樹先生のの「二輪乃花」いまでも色あせない力のある百合はたくさんあるんだ!
つぼみは価値ある百合アンソロなんだ!!
たしかにつぼみは休刊した。みんなの記憶に埋もれていくだけかもしれない。
しかし、2010年代につぼみは確かに花開いて、百合界に様々なものを遺したんだ!
つぼみから百合に入ったって人は私以外にもいるだろう。
別ジャンルの作家の魅力を発見できた人もいるだろう。
つぼみVol.4を読んだ時の輝きは、私にとって確かなものだったんだ!
まだまだ言いたいことはあるぜ!! 語り切れねえな!!!!!!
別の百合アンソロも語る予定だけど、つぼみだけはまた語るっきゃねえよな!!!
次はdolceを予定している!!!
百合姫で連載を始めたあの先生も載ってるぜ!!!!????